昨日、田村写真「プリンターのゆくえ」展に行く。とてもおもしろい写真展なので、オススメ! 会期は22日までなので、お早めに。
いわずもがなだが、ここでいうプリンターとは人のこと。プリントを焼く職人さんですね。そして田村写真は田村政実さんと、若い4人のプリンターがいる実力派集団なのだ。お客さんは国内外のファッションカメラマンや、写真作家などなど。具体的な名前は会場に行って田村さんに聞いてください。
展示作品は、田村写真を利用する作家さんと田村さん自身が撮影したもので、さまざまな手法のモノクロとカラープリントの表現を見せてくれる。多様な技法を使っていながら、見る人に押し付けがましさを感じさせないのは、作品のトーンにプリントがマッチしているからだろう。
その感覚は田村さんの人柄にも通じる。会場で作品を見ていると、さりげなく田村さんが近づいてきて、作品を解説してくれる。その口調は淡々としていて、うっすらと楽しげなのだ。教え諭したり、断定したりしないから、気軽に初歩的なことも聞けてしまう。
私にプリントの経験があったならば「大先達に直接、教えが請える良いチャンスだったのに」と後悔したほどです。ややピントの外れた後悔の仕方のような気もしますが。引っ込み思案の人は、会場内で田村さん実演のプリントのコツが上映されているので、一直線にそこに行き、引きこもり状態を確保すれば、心穏やかにノウハウが得られるはずです。
田村さんの写真歴は小学生時代から始まり、以来ずっと撮り続けているという。それがなぜ写真家の道を進まなかったかというと「プリントするのが一番楽しかったから」だそうだ。他人が撮った作品を前に、撮った状況や撮影意図を想像しながら、どんなプリントに仕上げるかを考え、試みていく。それが撮るよりも心惹かれる作業なのだ。
さまざまなレンズも使って、表現の違いをプリントで確かめている。だから長く田村さんと仕事をしている写真家とは、撮影前の段階から関わっていくという。作品のコンセプト、写真家の狙いを聞いて、使うレンズなどを一緒に考えていくのだ。
銀塩写真にこれほど関わってきた人が今のデジタル写真をどうみているのか。興味ありますよね。
その問いにもあっさりと「デジタルの仕事もしていますよ」とひとこと。多くの写真家がデジタルを使うようになり、ファッション誌でもデジタル写真の使用比率が高くなっている。それは時代の流れで当然のことと受け止めている。
「フィルムとデジタルの大きな違いは、エッジの部分を拡大した時、色の点が見えてくるのだけど、デジタルはその色の配列が整っているのに対し、フィルムはそれが不思議なランダムさで並んでいる。だからフィルムだと、白くとばして撮った海の水面に、うっすらと波の隆起が見える表現が自然にできるんだと思います」
会場のアップフィールドギャラリーはJR水道橋駅の新宿方面出口から徒歩3分ほどの場所にあります。開館時間は12:00~19:00。会期中無休。
http://www.upfield-gallery.jp/
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